マガマガ博覧会

マガマガしいもの紹介

第1回 モズマ

 このブログでは、クリーチャーを中心に、禍々しいもの、そして凶々しいもの、さらにまがまがしいものを独断と偏見と好みで紹介していきます。



 みなさん、ご存知のモズマです。

有名な世界妖怪図鑑より。




今は亡き、偉大な造形作家、韮澤靖さんの作品。



 モズマの初出と思われるのは、1966年別冊少女フレンド10月号の世界の妖怪大特集。

 イギリスの妖怪で美しい女性が夜になると口から内臓を出し、身体に巻き付けるらしいです。そこから内臓魔という別名も付いています。北向きに寝ている人を襲って脳みそを食べますが、つぼを置いておくと、脳がない頭だと思い、助かるとされています。
 絵を見ると、なんの説明も無いですが、手に銃のようなものを持っています。



 そして時は過ぎ、1968年世界怪奇スリラー全集第2巻、世界のモンスター。

イギリスの妖怪であること、口から内臓を吐くこと、脳みそを食べることの3点だけに要約されて紹介されています。

 PCエンジン「ネクロマンサー」に敵キャラで登場した時もこんな感じでした。


 さらに時は経ち、1970年まんが王7月号付録、ビッグマガジンNo.7妖怪。

 ここで表現が内臓をひっくり返す、という言い方に変化しました。



 さあやって来ました。1973年、モズマの存在を一躍有名にした、最初に紹介した韮澤さんも、この本のモズマのイメージで立体化したと言っていた、僕らの心にトラウマとして強く印象付けた、ジャガーバックス世界妖怪図鑑です!

 石原豪人さんの絵がスゴイ!口から内臓を吐き出すところは復活し、身体を裏返すという説明は、ひっくり返すというビッグマガジンのものがいかされています。脳みそを食べる、イギリスの妖怪というのは、共通しているようですが、棺桶の中で眠っているというのは新たに設定されています。
 このジャガーバックスシリーズは、ビッグジャガーズに名を変えて、この後しばらく増刷され続けました。
 


 ちなみに、余談になりますが、この世界妖怪図鑑を元に設定していると思われますが、変身忍者嵐にも登場しています。




 その後、1978年のモンスター大図鑑に紹介されました。

 昔からの説明どおり、そのまま口から内臓を吐き出した姿で描かれています。




 また、1987年のビッグコロタン、妖怪大図鑑では、ジャガーバックスと同じような姿で描かれています。

 著者もジャガーバックスと同じ故·佐藤有文さんなので、説明もほぼ同じです。




 最近?では、2003年に昭和の子供懐かしの妖怪図鑑で、新たな絵で紹介されました。

 ここでは、口から人型のモズマそのものが出てくるイメージで描かれています。その説明においても、内臓からの連想でモツというのは、最初の別冊少女フレンドで内臓魔という名だったことを見ると的を得ています。



 最後に、韮澤さんの作品、モズマの裏側。見事に裏返った身体が表現されています。

 烏珠の闇夜も響むマガマガさ

出典
NIRA WORKS」 ホビージャパン 1998年
「別冊少女フレンド」10月号 講談社 1966年
「世界怪奇スリラー全集2世界のモンスター」 秋田書店 1968年
「ビッグマガジンNo.7妖怪」1970年 秋田書店
ジャガーバックス 世界妖怪図鑑」佐藤有文 1973年 立風書房
「全怪獣怪人大事典 上巻」2003年 英知出版株式会社
「モンスター大図鑑」1978年 二見書房
ビッグコロタン「妖怪大図鑑」1987年 雪書房
「昭和の子供 懐かしの妖怪図鑑」2003年 株式会社コスミックインターナショナル
NIRA WARKS」1998年 株式会社ホビージャパン
邪聖剣ネクロマンサー必勝攻略法」1988年 株式会社双葉社