マガマガ博覧会

マガマガしいもの紹介

第8回 わいら

 みなさんご存知、わいらです。
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百怪図巻のわいら。


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化物づくしのわいら。

 妖怪絵巻で、一本の大きな爪を持つ、上半身のみが描かれたわいらです。わいらと言う名前は、相手を罵る時などの呼び方、もしくは恐れ、驚きなどを意味する言葉と考えられているようです。
 絵巻では、恐ろしい、気味が悪いなどの意味がある、おどろおどろ、おとろしの隣に描かれていることから、わいら名前の由来については、恐れ、驚きの意味が有力かと思われます。


 江戸時代、鳥山石燕画図百鬼夜行でも上半身のみが描かれています。
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 そして、時は流れて、昭和のジャガーバックス日本妖怪図鑑。
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 全身が描かれているだけでなく、羽が生え、さらに爪が鷲のようにとされ、一本でなくなってしまいます。
 腹が減ると人間を襲うともされています。


 この説明がもととなり、有紀書房、妖怪ミステリーでは、
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三本爪で翼を持ち、人間を骨まで食べる妖怪と紹介されています。


 また、コロタン文庫、世界の妖怪全百科では、
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翼はなくなりましたが、三本爪にライオンの牙を持ち、人間の肉が大好きになりました。


 しかし、コロタン文庫と同じ小学館のビッグコロタン、妖怪大図鑑では、ジャガーバックスと同じ佐藤有文著ですが、
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説明では鷲の爪ですが、その絵では翼はありますが1本爪で描かれています。顔はシャイダーの魔王サイコの感じになっています。


 こちらの方が古いですが、同じ佐藤有文著のワニの豆本、お化けの図鑑では、
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ジャガーバックスと同じように三本爪で描かれています。


 ゲームでは、真・女神転生デビルサマナーに登場しています。
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 前足の爪は一本で、下半身が不明ということを表現するため、影にしてはっきり描かれていないのは流石です。


 他にも討鬼伝2にザコキャラですが登場しています。
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 鬼としてのデザインですので、ちょっと妖怪わいらとして描かれてはいないものですが、一本爪をカマキリのようにし、謎である下半身を蛇のように表現しているあたりはわいら考察によるものかもしれません。


 最近は、追え!日本の妖怪スペシャルで、下半身が謎の妖怪として説明されています。
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 ここで、もぐらを食べると言う説明がありますが、これは山田野理夫氏のお化け文庫のなかに、わいらの目撃談があり、これが元となっているようです。


 幻想動物事典でも、下半身が毛に隠れてよくわからないように描いてあります。
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 ちなみにゲゲゲの鬼太郎6期の最終回でまなを襲っていたのはわいらですよね?
 

 最後に、ボツになったらしいですが、ある食玩企画の試作品のわいら。
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 烏珠の闇夜も響むマガマガさ


出典
ジャガーバックス「日本妖怪図鑑」1972年 立風書房
ワニの豆本「お化けの図鑑」1978年 
KKベストセラーズ
コロタン文庫「世界の妖怪全百科」1981年 小学館
ビッグコロタン「妖怪大図鑑」1987年 小学館
「妖怪ミステリー」1991年 有紀書房
鳥山石燕画図百鬼夜行」1992年 国書刊行会
「幻想動物事典」1997年 (株)新紀元社
「妖怪図巻」2000年 国書刊行会
金子一馬グラフィックス万魔殿」下巻 2002年 アトラス
討鬼伝2公式攻略ガイド」上 2016年 コーエーテクモゲームス
「追え!日本の妖怪スペシャル」2018年 朝日新聞出版

第7回 ルキフグス

 みなさんご存知、ルキフグスです。


 がばごぼげべさんのガレージキット、完成しました。


 単にルキフグ、または、ルキフゲ・ロフォカレなどとも呼ばれ、ルシファーの名が光を掲げる者という意味なのに対し、光を避ける者という意味がある、ルキフグズです。
 世界中の財宝や富の管理を任されているとされ、その姿は捻れた三本の角、ロバの足と尾を持つ姿で表されます。


 1973年、その姿は世界妖怪図鑑でターバンを巻いたような男の姿で紹介されました。

 ルキフグの名前で、悪魔界の内閣総理大臣とされています。ここで、世界の富、財宝を管理しているとされています。


 その後1987年、先の世界妖怪図鑑を元にした、悪魔王国の秘密でも、同じ姿で描かれています。


 また、1974年の悪魔全書では、世界妖怪図鑑のイメージそのままで描かれています。

 ただ、頭に角が生え、ターバンがミルになっています。


 悪魔の事典によると、その姿は、グラン・グリモアにおいて、隠された財宝を明らかにする場面の木版画がその姿とされています。

 捻れた三本角などの姿は、この木版画から来ているようです。


 この姿では、幻想世界の住人たちⅡで描かれています。


 また、幻想動物事典でも。


 最近は、大迫力!世界の天使と悪魔大百科で、内閣総理大臣の威厳と、三本角などの姿を合わせた形で描かれています。


 しかし、冒頭のガレージキットもそうですが、やはり真・女神転生でのルキフグスは秀逸です。

 特徴的な頭の飾りは、悪魔全書のデザインを踏襲しているようです。


 あと、残念ながらすでに閉鎖されてしまいましたが、携帯ゲーム、ガーディアンクルスのルキフゲ・ロフォカレのデザイン、良かったです。


 烏珠の闇夜も響むマガマガさ


出典
ジャガーバックス「世界妖怪図鑑」佐藤有文 1973年 立風書房
ドラゴンブックス「悪魔全書」1974年 講談社
ビッグジャガーズスペシャル「悪魔王国の秘密」1987年 立風書房
「幻想世界の住人たちⅡ」1989年 (株)新紀元社
「悪魔の事典」1992年 青土社
「幻想動物事典」1997年 (株)新紀元社
金子一馬グラフィックス万魔殿下巻」2002年 アトラス
「大迫力!世界の天使と悪魔大百科」2019年 西東社

第6回 牛鬼

 みなさんご存知、牛鬼です。
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 フルタの食玩百鬼夜行妖怪コレクションの牛鬼。


 「うしおに」、もしくは「ぎゅうき」と呼ばれ、水辺に棲み、毒を吐き、人を襲っては食い殺す恐ろしい妖怪です。また、美女が牛鬼の棲みかに誘い込むとされる場合もあります。
 伝承ではその姿は鬼の頭に牛の身体、またはその逆とされますが、描かれる時は牛の頭に蜘蛛の身体が多いようです。
 妖怪漫画の「ゲゲゲの鬼太郎」、「ぬらりひょんの孫」などでも強いキャラで登場しています。


 フルタの食玩フィギアも牛の頭に蜘蛛ですが、その元になっているのが、鳥山石燕画図百鬼夜行に描かれたものです。
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 ちょっと全体像がわかりづらいです。


 さらにこの絵の元の一つが、絵巻物の百怪図巻です。
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 わかりやすくなりました。


 最近では、「追え!日本の妖怪スペシャル」に、そのデザインでイラストされています。
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 ゲーム、真・女神転生では、牛の頭に蜘蛛の身体のイメージで、カッコ良くデザインされています。
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 さらに、仁王2では、目が増え、より蜘蛛のイメージに。
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 ポプラ社のにっぽん妖怪大図鑑では、伝承どおりのイメージで描かれています。
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頭が鬼で身体が牛です。


 逆のパターンが、妖怪最強王の絵かな?
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 学研ミステリー百科DXの妖怪&モンスター超百科では、さらに女性の要素も組み込んだデザインで描かれています。
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 コロタン文庫、世界の妖怪全百科では、水辺の妖怪らしく船を襲っています。
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 一見、ただの牛に見えますが、足が6本あるとされ、蜘蛛のイメージが踏襲されていると思われます。


 そして、映画、妖怪大戦争に登場した牛鬼がこちら。ユージンの食玩大映特撮シリーズ妖怪百物語其の二より。
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 三つ目となり、巨大な顔は鬼を表しているのかな?なかなか無い牛鬼の表現です。


 牛鬼は、主に四国や中国地方で伝えられている妖怪で、愛媛県宇和島では、ウショウニン祭という、牛鬼のお祭りもあるほどですが、香川県根香寺に牛鬼の姿が伝わっており、独特な姿をしています。
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 同寺には、この牛鬼の銅像もあります。
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 森の中に立つ異様な姿のほか、3メートルはあろうかと思われるその大きさから、恐ろしげな雰囲気がよく伝わってきます。


 烏珠の闇夜も響むマガマガさ

出典
鳥山石燕 画図百鬼夜行」1992年 国書刊行会
「妖怪図巻」2000年 国書刊行会
「追え!日本の妖怪スペシャル」2018年 朝日新聞出版社
金子一馬画集Ⅱ」2006年 新紀元社
「仁王・仁王2公式アートワークス」2020年 KADOKAWA
「にっぽん妖怪大図鑑」2011年 ポプラ社
「妖怪最強王図鑑」2018年 学研プラス
「学研ミステリー百科DX世界の妖怪&モンスター超百科」2019年 学研プラス
小学館コロタン文庫62世界の妖怪全百科」1981年 小学館
「学習まんがふしぎシリーズ日本の妖怪なぞとふしぎ」1983年 小学館

第5回 アリオク

 みなさんご存知、アリオクです。
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 初心者なので、荒いですが、がばぼごげべさんのアリオクのガレージキット、完成しました。
 真女神転生シリーズの魔王ですが、その肥大した身体に大胆にあしらった口と舌が不気味さを増大させています。


 アリオクは復讐の悪魔であり、その名はアルファベットでAriochと表記されるので、日本語ではアリヨク、アリオッチ、アリオーシュなどとも呼ばれます。
 その名前はヘブライ語で「獰猛な獅子」を意味し、旧約聖書に王の名前として登場しています。それが元なのかはわかりませんが、ミルトンの「失楽園」に堕天使として登場したのが悪魔として最初でしょうか。ここで、サタンに従って神の軍勢と戦った時、アブデルに負けてしまい、この恨みから復讐の悪魔となったとされています。
 

 悪魔として、プランシーの「地獄の辞典」では、アリオーシュの名で、その姿とともに紹介されています。
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 天使のようなイメージですが、手には斧と松明を持ち、コウモリの羽となっています。
 ここで、個人的な復讐をしてくれる悪魔とされています。


 この系統で、羽の生えた人型で描かれているのが、「幻想動物辞典」です。
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 ホントにただ羽のある人間です。


 以上を踏まえたものが、西東社の「大迫力!世界の天使と悪魔大百科」のものです。
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 獰猛な獅子が、斧と松明を持って、空から舞い降りています。


 さらに、マイケル・ムアコックファンタジー小説、エターナルチャンピオンシリーズに、混沌の魔王として登場します。
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 フルカラーの漫画版では、子供の姿で表現されています。外見の愛らしさがその禍々しさを増幅しています。


 同シリーズのアリオクは、様々な姿で現れるとされ、特に好んでいるのは、腐った身体に鱗や翼を持つ太った巨人の姿で、「幻想世界の住人たちⅡ」の描写はその姿を表しています。
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 冒頭のガレキもそうですが、有名な真・女神転生のアリオクも、ムアコックの小説のイメージが入っていると思われます。
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 金子氏のセンスの光る素晴らしいデザイン。


ちなみに、女神転生時代は、人型に羽。
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 FF12でも同じようなデザインでした。
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 デモンズクロニクルの8弾でもアリオッチの名前で、同イメージのデザインとなっています。
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 肥大した醜悪な身体に羽や鱗、手には剣を持っています。


烏珠の闇夜も響むマガマガさ
 

参照
「地獄の辞典」コラン・ド・プランシー 1990年 講談社
「大迫力!世界の天使と悪魔大百科」2019年 西東社
「幻想動物事典」草野巧 1997年 (株)新紀元社
エルリックサーガ1」2020年 KADOKAWA
「幻想世界の住人たちⅡ」1989年 新紀元社
金子一馬画集Ⅰ」2004年 (株)新紀元社
女神転生Ⅱ必勝攻略本」1990年 双葉社
ファイナルファンタジーⅩⅡバトルアルティマニア」2006年 (株)スクウェア・エニックス

第4回 ニャルラトホテプ(闇に吠える者)

 みなさんご存知、ニャルラトホテプです。


 這いよれニャル子さんで広く一般に知られるようになった、あのニャルラトホテプです。
 クトゥルー神話と呼ばれるシリーズ小説を作り出した、アメリカのH.P.ラブクラフトの作品に登場する邪神のニャルラトホテプです。
 ラブクラフト作品では、「ニャルラトホテプ」、「未知なるカダスを夢に求めて」などに登場し、その後他の作家の作品にも登場しています。
 ニャルラトホテプは様々な姿があるのですが、説明すると長くなるので、省きます。
 中でもみんなが大好きな姿が、A・ダーレスの「闇に棲みつく者」に登場した、闇に吠える者と呼ばれるものであり、これが一般的な姿かなと思います。



 サンディー・ピーターセンによる一般的な姿。


 80年代にメタルフィギアで立体化されています。

向かって右がグレナディア社で左がRAFM社からリリースされたものです。




 最近はボードゲームクトゥルフウォーズで立体化されました。

バランス良く、カッコいいデザインです。



 ニャルラトホテプはこれまで様々なジャンルで描かれ、アレンジされています。面白いところでは、クトゥルフ神話を描いた漫画、矢野健太郎さんのリ・バース(コミックノーラ)で、二人のニャルラトホテプ同士が戦うというシーンがありました。



 食玩のオマケでも登場。

 ネクロスの要塞に登場したニャルラトホテプ。特徴をとらえながらも、人間に近い姿になっています。


 ゲームでは、ネクロマンサー、真・女神転生などに登場していますが、闇に吠える者として一番のデザインは、ペルソナ2罰だと思います。

ペルソナ2罰のニャルラトホテプ。特徴をとらえ、洗練されています。



 さらに、携帯ゲーム、パズドラのニャル。

足が4本になり、動物的なデザインでステキです。



 クトゥルフ神話TRPG怪物図鑑では、よりモンスター的にデザインされています。



 しかし、以前、ソタトイズから発売されたニャルラトホテプはスバラシイ!

 クトゥルーに通じるタコのイメージを見事にニャルラトホテプのデザインにつなげています。



 そしてポールコモダ氏による独特のデザインでゲッコーから発売されたのがコチラ。

まさにSAN値が下がります。


烏珠の闇夜も響むマガマガさ
 

参照
クトゥルフモンスターガイド」1989年 ホビージャパン
クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ神話怪物図鑑」2016年 (株)KADOKAWA
金子一馬画集Ⅷ」2019年 (株)新紀元社

第3回 バックベアード

 みなさんご存知、バックベアード様です。

 ゲゲゲの鬼太郎に西洋妖怪のボスとして何度も登場しているバックベアード様です。
 故・水木しげる先生の漫画に登場し、その後妖怪図鑑、アニメなどで有名になっていきました。
 その巨大な目を見た者は、狂ってしまうという最大の能力がありますが、ゲゲゲの鬼太郎の中では同時にその目が弱点となっています。



 しかし、最初はもっと違う姿だったようです。

 1965年少年ブック8月号の世界の幽霊おばけ特集が初出と思われ、昆虫の目の別名として、バックベアードの言葉がでてきています。
 この時は複眼にヒゲといったデザインでした。アメリカ、イギリスの妖怪とされているところから、イギリスの悪い子どもがいると、さらいに来るとされるバクベアが名前の由来ではないかと推察されています。
 その視線が人を狂わすという能力が、この時すでに付加されています。


 その後、1966年少年ブック8月号付録、怪獣妖怪大行進に再び掲載されています。

 こちらも、昆虫の目の姿ですが、バックベアードの名前がメインになっています。



 さて、ゲゲゲの鬼太郎バックベアードのデザインですが、故・水木先生の1966年の週刊漫画天国に掲載された怪物マチコミが先のようです。

 金持ちにしてくれるかわりに、ひとの才能を枯渇させる怪物として登場しています。


 さて、マチコミは、1964年アサヒカメラ4月号に掲載された内藤正敏氏の作品、キメラを元にデザインされたと考えられています。



 このキメラの他にも、オディロン・ルドンの作品も参考にしているかもしれません。

 これら昆虫の目としてのバックベアードと、マチコミに連なるデザインが合わさり、ゲゲゲの鬼太郎でのバックベアードが誕生したと考えられます。




 ゲーム、真・女神転生には新たなデザインで登場していました。

 色もオレンジ色で画期的です。



 最近はアニメ、ゲゲゲの鬼太郎の6期で衝撃的な姿で登場しています。

 パッと見はややまつ毛増量したくらいの姿で、これまでとそれほど変わりません。
 と、思いきや、

 なんと、薄く2次元的な姿で影のような存在に!これまでにない、スバラシイ表現!
 さらに驚愕したのが、

 ベアード様が人型!?1つ目タイタン?これは衝撃でした。千年ぶりにこの姿になったらしいです。
 そして最後は、

 こんな感じで目が増えます。

 烏珠の闇夜も響むマガマガさ

出典
「妖怪世界編入門」1978年 小学館
「少年ブック8月号」1965年 集英社
「怪獣妖怪大行進」1966年 集英社
水木しげる妖怪傑作選3」1996年 中央公論新社
「アサヒカメラ 4月号」1964年 朝日新聞社
「ルドンの黒」2007年 Bunkamura
金子一馬画集 Ⅰ」2004年 新紀元社
ゲゲゲの鬼太郎」2018年 東映アニメーション

第2回 ヴィー

 みなさんご存知、ヴィーです。

 東スラブ神話に登場する悪魔で死の目をもっていますが、自分で開けることができません。その目を見た者は目を醒ますことがてきず死に至るとされ、さらには村や町をその視線で滅ぼすことができるとされます。(Wikipediaより)



 この悪魔、クリーチャーを一躍有名にしたのが、1967年ロシア(当時はソビエト連邦)で発表された、邦題「妖婆死棺の呪い」という映画です。劇作家であるゴーゴリの脚本をもとに制作され、着ぐるみによる特撮で表現されました。

 その話の中でヴィーは、チョークで床に書いた結界としてのサークルの中で祈りをささげる主人公を見つけることができないでいた魔女に呼び出され、瞼をあけてもらうことにより、主人公を見つけるという役回りで登場しています。
 ちなみにこの映画で、美しい魔女が棺桶に乗って宙に浮き、無表情で主人公を探しているシーンは、不気味な様が非常によく表現され、素晴らしかったです。



 この映画を元に、日本で紹介されたのが、1973年、ジャガーバックス世界妖怪図鑑です。

 地底魔王という位置付けになり、瞼や目についてはなんの解説もなく、ロシアの魔王として、現れると魔女に力を与える存在と紹介されています。やや眠そうな表情が瞼が重いという名残りでしょうか。
 しかし、その絵の右上には棺桶に乗った死美人の魔女が描かれ、例の映画が元になっているのがわかります。



 そして1981年のコロタン文庫、世界の妖怪全百科で紹介されたのがこちら。

 目が一つになり、よりその眼力が強調され、ステキな表現だなと思います。説明も映画の内容そのものになっています。



 しかし、1987年、ビッグコロタン、妖怪大図鑑では、先のコロタン文庫と同じ小学館にもかかわらず、映画と違った説明に。

 これは、著者がビッグジャガーズと同じ、故·佐藤有文さんなので、納得です。


 1975年刊行の、東西妖怪図会が初出かと思われますが、偉大な妖怪絵師、故·水木しげる先生もヴィイの姿を描いています。

 画像はカラーの方で、水木しげる漫画大全集、媒体別妖怪画報集Ⅰより、1994年ヤングジャンプ掲載のものです。映画のイメージで描かれていますが、説明は地中に棲む老人の姿の妖怪や、死んだ娘にとり憑くなど、やや映画と違っている部分があります。絵にはハッキリとした姿はわかりませんが、光る目がそうだと思われ、ふたつの目が描かれています。



 2000年に新紀元社から刊行された悪魔事典では、映画や伝承の姿に近い姿で描かれています。

 ゲームでは、女神転生に一つ目生首の姿で登場しています。



 さて、映画「妖婆死棺の呪い」は、2014年に「レジェンドオブヴィー」として、内容はアレンジされてちょっと違いますが、リメイクされています。その中で主人公はヴィーに出会うのですが、その姿はこれまでにない、新たなデザインとなっています。

 その目が虫の複眼のように沢山ついて、その禍々しさが強調されています。



 さらに、2018年に公開された「魔界探偵ゴーゴリ」シリーズの魔女の呪いと妖怪ヴィーの召還にも登場しています。

 巨大な土の精と言った感じでしょうか。
 目がひとつで世界の妖怪全百科に近いデザインです。

 烏珠の闇夜も響むマガマガさ

出典
 Wikipedia
妖婆 死棺の呪い」1967年 ロシア
ジャガーバックス「世界妖怪図鑑」佐藤有文 立風書房 1973年
「世界の妖怪全百科」1981年 小学館
ビッグコロタン「妖怪大図鑑」1987年 小学館
水木しげる漫画大全集「媒体別妖怪画報集Ⅰ」2016年 (株)講談社
悪魔事典」2000年 (株)新紀元社
「レジェンドオブヴィー 妖怪村と秘密の棺」2014年 ロシア
「魔界探偵ゴーゴリ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召還」2018年 ロシア
女神転生必勝攻略法完璧版」1990年 (株)双葉社